
低温調理63℃30分のエビデンスへの道②
前回は63℃30分同条件の中心部の加熱表を作成しました。
前回までの経緯
63℃30分と同等な加熱条件の算出@低温調理エビデンスへの道①
https://yapparimengasuki.com/blog-entry-1458.html
今回の目的
前回、厚生労働省の進める指針の一覧表を作成したので今度は厚さによる中心部到達時間を実際に実験しながらデータを取っていく訳ですが、途方もない時間を使うことになります。
私の人生が終わってしまうかもしれません。
なので厚さによる中心到達時間と温度の推測をできないか?
そこでSous videのバイブル的サイト
http://www.douglasbaldwin.com/
これをまずは読破。
かなり参考になるサイトでフリー(無料)で公開しているのは有難い限りです。
色々と有るわけですが、ここに中心部までの到達時間があるのです。
そこから算出し、出来る限り信憑性ある推定値にしてからデータを取りたい。
食材の中心温度に到達する時間の推定
これはダグラス博士が調べ上げた解凍された状態の肉での一覧表です。
◇自分なりの解釈
湯煎温度は45℃~80℃の状態。(低温調理の温度帯)
中心温度は湯煎温度より0.5℃低くなる。
※上記の事から目標温度よりも0.5℃低いポイントでの到達時間という認識です。
さらに中心温度が湯煎温度よりも1℃低いポイントであれば時間は13%短縮出来る。
※日本では中心温度を重視するのでこう表現しましたが、上記では全体温度という認識なのかもしれません。
全体=中心も含むので間違ってはいないです。
中心部到達時間予測表

日本的に見やすくするとこんな感じになります。
こうなると加熱時間の推定が出来ますね。
推定湯煎加熱時間=63℃30分同条件の中心部の加熱表+中心部到達時間予測表+α
になると推定する。
プラスαは脂分や上記に適合しない場合など・・
何も考えずに安全圏を行くなら板状の時間を選択して行うべきでしょう。
例えば
これは米政府の鶏肉と七面鳥のサルモネラ菌の7D削減のための低温殺菌時間表のようです。
これを見る限り蛋白質よりも脂分が多い方が殺菌に時間がかかっているのが分かる。
こうなると
ズバリ!これだ!
という加熱時間表を作るも難しくなってくる。
完全な安全圏なら高温で何百時間でもやれば良いではないか?
それ言ったらもはや意味ないですね。
なので実験を行って信憑性を得た状態で完成させたい。
次回からその実験を行います。
なんて事はせず!
いきなり実験!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
脂分の多い豚バラブロック板状?の実験

板状の脂分の多い豚バラブロックを買ってきました。
板状のつもりでしたが、今考えてみるとこれ角柱状の様な気がしてきた。

厚さを測ります。約50mm

温度データロガーのプローブを指します。
何処に指すか?迷ったがこのように中心狙い。

真ん中に指して計測です。
この脂の多さ?伝わりますよね?

データロガーの信頼性。手元にあるデジタル温度計でお湯を測定。
誤差は0.1℃ぐらい。まあ致し方ないでしょう。

使う低温調理器はSANYO炊飯器

↑クリックで大きくなるお
精度を確認した結果
65℃に設定して安定状態から平均値64.2℃となりました。
パッキンが劣化してきてるのか?
メンテが必要かもしれません。
●実験条件と結果
使用する調理器 : SANYO炊飯器一升用 ★湯煎温度:約64.0℃とします。
使用する材料 : 豚バラブロック(脂多め) ★厚さ50㎜ 角柱形状
使用する温度計 : CT-621BT ★事前に手持ち温度計と確認0.1誤差
目標温度狙い : 中心温度63℃30分以上 ★目標到達推定温度63.5℃とします。
推定時間 : 形状と厚さから2.5H~3.5Hぐらいだろうか?
方法 : 湯煎温度64℃になってから豚バラを投入して中心温度をロガーで測定。

スタート!!
・
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・
実験結果!!

厚さ50㎜の豚バラブロック(脂多め)の角柱形状を加熱した所。
最終的に6時間以上加熱してますがココでは関係ない。
まずは結果から
①中心温度63℃30分を狙った場合。
・2.5Hで63.0℃に到達。つまりそこから0.5H(30分)待つ必要がある。なので3.0Hで63℃30分をクリアできた。
安全圏では3.5Hぐらいが良いと思われる。
グラフでNG、注意、OKとしてます。
②到達時間の信憑性
・中心部目標到達時間予測表ダグラス博士指針の湯煎温度の-0.5℃に中心が達する時間。
湯煎温度が約64℃なので63.5℃ぐらいになる時間でカウント。
と言ってもよく見えない。
これをグラフで分析するには・・
ズームアップ!!

63.5℃地点が約3.0Hなのが分かります。つまり中心温度到達時間は3.0Hとなりました。

↑クリックで拡大
丁度、板状と円柱の間ぐらいの時間になりました。
何となく合ってんじゃね?
って気にもなりますが、今回、脂が多い肉で行ってますからね?
まだ、確実なことは言えない。
なのでまだ加熱表はおあずけ
あと、もうひとつ。
さらに0.5℃低い温度では約13%時間短縮出来るとありました。
63.0到達150分。63.5到達180分。約18%となりました。近似値には来てるかもしれませんし、やはり脂が多いから何とも言えない。
でもこの0.5℃がかなり時間をロスしてるのが分かる。
あとグラフの温度が急激なボトムがあるのはデータロガーのノイズの影響かもしれません。
Bluetoothなのでこれでもかなり頑張ってる製品だと思います。
最後にひとつ。
中心温度を63℃を狙う場合。
調理器の設定は63℃では無理。それ以上の高い温度の設定が必要であるということが分かった。
調理器の誤差、温度計の誤差などを考えると65℃ぐらいにした方が賢明かもしれません。

肉に穴空いた~!!
こんな感じで毎回やっていこうと思います。
飽きるまで・・
あくまで日記ですからこの結果は参考程度に留め
最終的には自己責任となります。
参考記事
http://www.douglasbaldwin.com/
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